21世紀COE・次世代ユビキタス情報社会基盤の形成
第一回設立記念シンポジウム

日時
平成16年10月27日(水)13:30~17:20
会場
東京大学大講堂(安田講堂)
主催
東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/

プログラム

13:00~
受付
13:30~13:40
挨拶
花田達朗(大学院情報学環長・教授)
13:40~14:30
基調講演「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成にむけて」
坂村 健(拠点リーダー、大学院情報学環副学環長・教授)
14:30~17:20
パネルセッション
コーディネーター
坂村 健(拠点リーダー、大学院情報学環副学環長・教授)
セッション1「ユビキタス情報社会を支えるデジタルコンテンツ」
パネリスト
石田英敬(大学院情報学環・教授)
吉見俊哉(大学院情報学環・教授)
馬場 章(大学院情報学環・助教授)
セッション2「ユビキタス情報社会を支える社会設計・法制度そして政策」
パネリスト
須藤 修(大学院情報学環・教授)
濱田純一(大学院情報学環・教授)
セッション3「ユビキタス情報社会を支える技術基盤と応用」
パネリスト
大江和彦(大学院医学系研究科・教授)
越塚 登(情報基盤センター・助教授)

ごあいさつ

東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻は「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」のテーマで、このたび文部科学省「21世紀COEプログラム」の平成16年度採択拠点となりました。

21世紀の人間社会は、あらゆる場面においてデジタル化された情報を活用する「ユビキタス情報社会」へと向かおうとしています。ユビキタス情報社会の基盤を形成するためには、情報学を核とした技術はもちろんのこと社会、経済にわたる幅広い学際的学問基盤が必要であり、本拠点はその確立を目的としています。ユビキタスコンピューティングやユビキタスネットワークの研究を私は20年以上も前の1984年から東京大学で始め「どこでもコンピュータ」という概念のもとTRONプロジェクトを通して続けてまいりました。最近ではこの考え方は世界的に大きな影響を与え、我が国でも政府のIT政策の中核の一つ、u-Japan(Ubiquitous Japan)、として採り入れられようになりました。このような背景を生かし、本プログラムの5年間で、ユビキタス分野における世界の研究教育を先導できる世界最高水準の研究拠点を形成すべく、東京大学大学院情報学環を挙げてユビキタス情報社会の挑戦に取り組んでまいります。

本シンポジウムは21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」の設立を記念して開催するものです。本拠点が目指す次世代のユビキタス情報社会基盤とは何かを、本シンポジウムを通してうき上がらせたいと考えています。

2004年10月
坂村 健
21世紀COEプログラム
「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」拠点リーダー
東京大学大学院情報学環・副学環長・教授


基調講演
「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」にむけて
─21世紀COEプログラム発足にあたって─

坂村 健
拠点リーダー
東京大学大学院情報学環・副学環長・教授

概要

情報通信環境が人類社会のすみずみまでゆきわたった21世紀型のユビキタス情報社会・経済を先導することを目的として、情報科学や情報工学、社会基礎理論、経済学、法学を融合した学際研究を推進するための世界最高水準の研究・教育拠点を形成するために発足したのが、東京大学大学院情報学環が推進する21世紀COEプログラム「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」である。

ユビキタスコンピューティング・ネットワーキングは日本が世界に先駆けて提唱した情報学の革新的な分野であり、今日の世界の情報通信分野の研究開発だけでなく産業界をも先導する考え方となっており、本プログラムを通して、社会に遍在する膨大な情報の統御技術やユビキタス型情報環境の構築技術、RFID等の電子タグ技術等を確立し、その成果を国内外のIT産業の基盤強化に資する。更に、情報社会学や法学、経済学的観点から、ユビキタス情報社会への転換にむけた社会制度改革や政策提言を実施する。

推進体制としては、全学的バックアップの下で拠点リーダーを中心とした一貫した研究教育体制をとり、世界最高水準の研究を担う若手研究者を育成、国内外特にアジアの大学・産業界との密な共同研究の実施を行う。これにより「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」を積極的に推進する。

1. 背景

ユビキタス情報社会とは、社会のあらゆる分野や場面において、情報技術により生み出されたデジタル情報を活用し、生活の質の向上に資する社会である。ユビキタス情報社会への取り組みは、21世紀における国家的課題の一つであり、現在日本政府が推進するe-Japan戦略の次にu-Japanとして位置づけられようとしている。よってこの動きを先導することは重要な学術課題というだけでなく、社会的にも強く要請されている。東京大学情報学環は、この要請に応え、知的分野のリーダシップを発揮すべき大学の社会的使命を果たしたい。

また、ユビキタスは、計算機科学において、我が国から世界にむけてオリジナルアイデアを提案した数少ないものの一つである。しかも産業的にも優位性があり、先導的に本分野を研究することは、世界への貢献という観点でも、また国内の産業的基盤強化という観点からも極めて重要である。

2.目的

そこで、東京大学大学院情報学環は、このユビキタス情報社会を先導することを目的として、概念形成や基礎理論、工学的技術や社会応用の分野で、情報学を核として計算機科学や認知科学、社会情報学、経済学、法学、社会学、歴史学、文化研究を融合した幅広い学際研究を推進する世界最高水準の研究・教育拠点を形成する。「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」研究拠点である。

本研究拠点は、文部科学省21世紀COEプログラムによる支援をうけ、平成16年度より5年間で、以下の目標を達成する。

  1. ユビキタス情報基盤技術の研究の推進。RFID等の基礎技術をはじめ、ユビキタス情報社会を構成する多様で膨大な情報の統御技術の確立、社会に遍在する情報環境の構築技術の確立等々。
  2. 今後のユビキタス情報社会に向けた、情報社会学的分析、法学的観点や経済学的観点からの社会制度改革や政策の提言。
  3. 情報学を基盤とした高度なユビキタス情報ベースの構築・運用。
  4. 今後必要とされるユビキタス関連の技術者、研究者等、新しい学術創造の基盤を支える人材の育成。

3.研究実施計画概要

本COEプログラムでは、以下の3つの研究プロジェクトを設置・運営する。それぞれが一貫した方向で研究をすすめるべく、拠点リーダーのもと総合的に展開する。

プロジェクトA
ユビキタス情報コンテンツ形成
プロジェクトB
ユビキタス情報技術研究
プロジェクトC
ユビキタス情報社会国際研究

3.1 プロジェクトA:ユビキタス情報コンテンツ形成プロジェクト

ユビキタス情報基盤形成プロジェクトでは、ユビキタス型情報配信を前提としたユビキタス情報ベースのコンテンツを形成する。東京大学ではすでに、大学院情報学環や史料編纂所、総合研究博物館、総合図書館、社会情報研究所等において、デジタルアーカイブを形成してきた実績がある。本プログラムでは、これらのデジタルアーカイブをユビキタス情報ベースへ発展させる。

構築の際には、オープンコミュニティーによる情報形成手法やセマンティックウェブによる情報統合などをデジタルアーカイブ分野に適用し新しいアーカイブの構築・運用手法なども生み出す。

3.2 プロジェクトB:ユビキタス情報技術研究プロジェクト

ユビキタス情報技術研究プロジェクトでは、ユビキタス情報社会を支える技術基盤を確立する。本プロジェクトでは、画像処理・言語処理・実世界タギング技術による情報アーカイブ構築技術、社会環境のあらゆる状況でユビキタス情報ベースを利用可能にするユビキタス情報基盤システムなどの研究を推進する。

まず第一に、RFID等による実世界タギング(タグ付け)技術を発展させ、現実世界の非デジタルコンテンツを統合したアーカイブを構成する。更に、より効率的に情報アーカイブを構築するために、画像処理技術や言語処理技術を活用する。第二に、ユビキタス情報ベースを知識データベース化することによって、ユビキタス情報システムにおけるコンテキスト理解に活用し、高度なコンテキストアウェア型の情報システムを構築する。また、自然言語理解や意味理解を駆使した高度なヒューマンインタフェースの実現もめざす。

3.3 プロジェクトC:ユビキタス情報社会国際研究プロジェクト

ユビキタス情報社会国際研究プロジェクトでは、ユビキタス情報社会の国際的基盤の確立にむけて、いつでもどこでも情報サービスを利用できる社会における、社会的問題に関して研究を行なう。

具体的には、情報社会変動と個人行動の関係に関する実証的調査、情報システムと経済システムの関係に関する実証研究、ネットワーク上の違法コンテンツ規制、個人情報保護、メディアや電気通信分野における競争政策等の研究蓄積、歴史文化的な次元からの情報研究の統合やユビキタス情報社会全体の枠組みの構築などがある。

4.教育実施計画概要

本COEプロジェクトでは、21世紀のユビキタス情報社会において社会から嘱望される若手の研究者や技術者、学際的な素養をもち、かつ自らの専門分野に関しては世界第一線の力をもった人材の育成を行う。

4.1 ユビキタス情報技術分野の人材育成

ユビキタス情報技術には、組込み・リアルタイム技術や、セキュリティー、通信といった重要な要素技術が含まれる。これらの分野は、我が国が世界をリードし、かつ現在の日本の景気回復を牽引している。実績をもとに世界をリードしていく指導的立場の人材育成をめざす。この分野における将来の日本の情報分野の国力を確実にするためにも、本拠点はユビキタス技術分野の人材の育成を強化する。

4.2 戦略的人材の育成

激烈な国際競争下にある情報分野において、我が国で決定的に欠けているのは、高度な技術戦略を構築できる人材である。もはや、高度な情報技術の知識だけでも、逆に政策的・経済的知識だけでも、事業展開や政策立案を処することは困難である。本拠点は、文理に渡る幅広い研究者の共同作業を通して、こうした戦略的思考ができる若手の人材を輩出する。

4.3 国際的最高水準の環境化における教育

日本の国力や国際的地位からしても、国際的に最高水準の教育を確保する必要がある。既に大学院情報学環が構築している国際的学術ネットワークを利用し、世界の学界、産業界との連携も強め、世界最高水準の大学院教育を実現する。

4.4 若手研究者が活躍できる場の提供

本拠点では、若手研究者が活躍できる場の提供を行う。本拠点に属する研究者が、研究プロジェクトを積極的に展開し、若手研究者が世界最高峰のレベルで活動できる場を提供する。

5.研究教育推進体制

本拠点は、東京大学大学院情報学環の総力をあげ、以下の教員を主要メンバーとした研究推進体制をとる。今後、本プログラムの進展に伴い、特任教員や本プログラムの研究員、各方の研究者の協力を受けて実施する。また、他大学や産業界との共同研究も積極的に推進していく。

■総括

  • 坂村  健・教授 (拠点リーダー)
  • 吉見 俊哉・教授(拠点リーダー補佐)
  • 石崎 雅人・助教授(総括調整)
  • 越塚  登・助教授(総括調整)

■プロジェクトA: ユビキタス情報コンテンツ形成プロジェクト

  • 馬場  章・助教授(統括)
  • 橋本 良明・教授
  • 石田 英敬・教授
  • 西野 嘉章・教授(総合研究博物館)

■プロジェクトB: ユビキタス情報技術研究プロジェクト

  • 坂村  健・教授(統括)
  • 原島  博・教授
  • 辻井 潤一・教授
  • 河口洋一郎・教授
  • 中川 裕志・教授(情報基盤センター)
  • 清水謙多郎・教授(大学院農学生命科学研究科)
  • 石崎 雅人・助教授
  • 越塚  登・助教授(情報基盤センター)

■プロジェクトC: ユビキタス情報社会国際研究プロジェクト

  • 吉見 俊哉・教授(統括)
  • 西垣  通・教授
  • 濱田 純一・教授
  • 須藤  修・教授
  • 佐倉  統・助教授
  • 水越  伸・助教授
  • 林  香里・助教授

※ これはシンポジウム開催当時のリストです。最新の研究教育推進体制はこちらをご覧ください


パネルセッション1
「ユビキタス情報社会を支えるデジタルコンテンツ」

コーディネーター: 坂村 健

東京大学大学院情報学環・副学環長・教授
拠点リーダー、プロジェクトB:ユビキタス情報技術研究プロジェクト・統括

パネリスト: 石田 英敬

東京大学大学院情報学環・教授
プロジェクトA:ユビキタス情報コンテンツ形成プロジェクト

「世界は一冊の書物に到達する」と述べたフランスの大詩人マラルメの研究者として出発、その後ポスト構造主義の哲学および言語科学・記号学の研究に取り組み「言語態」研究の体系化を行う。人文科学における広い研究関心を背景に、人文学と情報学の接合をめざす「情報記号論」の研究に現在取り組んでいる。

概要: 「<ユビキタス化する宇宙>と<世界の散文>」

言葉と物との関係が人類文明を特徴づけてきた人類史ののち、宇宙のすべてのモノが情報を帯びる時代の到来はどのような文明を告知しているのか?新しい「情報の文明」における、モノ、コト、コトバ、情報の成立条件とはどのようなものか?そして、<知>はいまどのような変容を迎えつつあるのか?情報技術がユビキタス化する宇宙を前にして「世界の散文」の新たな編成原理を問う。

パネリスト: 吉見 俊哉

東京大学大学院情報学環・教授
プロジェクトC:ユビキタス情報社会国際研究プロジェクト・統括

社会学・文化研究専攻。演劇と関わり、集まりの場でのドラマの形成を考えるところから出発し、大衆文化と権力の問題をテーマに研究を展開。国民祭典やアメリカ化、消費社会の文化史分析、文化理論の方法的探究などに取り組む。進行中のプロジェクトとして、「戦後東アジアのアメリカニズム」「グローバル・シティと場所の消費」「メディア天皇制とテレビ」「20世紀の戦争とメディア」「多言語・対話型のグローバル・エンサイクロペディア構築」などである。

概要

大学のユビキタス化とは何か。近代を通じて蓄積されてきた人文知と21世紀のユビキタス社会を繋ぐ新しい学びのシステムを、情報学環の文系と理系の知がいかに協働することで構築するのか。我々はこの問いに、「新しいユビキタス・エンサイクロペディア」をもって答えたい。ここで為されるのは、いわゆる百科事典のデジタル化ではない。大学に蓄積されてきた書物や図像、映像からモノ、授業、国際会議などを、グローバルに進化し続ける対話型のユビキタス・エンサイクロペディアに織り上げていく。

パネリスト: 馬場 章

東京大学大学院情報学環・助教授
プロジェクトA:ユビキタス情報コンテンツ形成プロジェクト・統括

東京大学史料編纂所では、わが国の古写真などを対象とする画像史料デジタルアーカイブの構築に取り組み、古写真データベースの公開、ガラス乾板画像の復元や立体化、動画化を通じて、デジタル技術を利用した新しい文化財保存の可能性に取り組んだ。大学院情報学環では、画像ファイル閲覧ソフトウェアiPalletnexusの開発を進め、デジタルアーカイブの運用の利便性向上につとめている。また、デジタルアーカイブにエンタテインメント性を付与する試みも進め、ゲームの面白さを表現するpleasurability概念を提唱している。

概要

アーカイブはデジタル技術の進歩により、デジタルアーカイブへと姿を変えつつある。すでに世界中で無数のデジタルアーカイブが構築されているが、その多くは運用面で失敗し、貴重なコンテンツが有効に活用されているとは言えない。ユビキタスコンピューティングの技術に裏付けられた人類の「知」の共有化を目指して、テキスト・ビデオ・音声、二次元・三次元など各種のデータを統合し、それらに意味の連関と構造を持たせた新たな概念に基づくデジタルアーカイブの構築を目標としている。


パネルセッション2
「ユビキタス情報社会を支える社会設計・法制度そして政策」

コーディネーター: 坂村 健

東京大学大学院情報学環・副学環長・教授
拠点リーダー、プロジェクトB:ユビキタス情報技術研究プロジェクト・統括

パネリスト: 須藤 修

東京大学大学院情報学環・教授
プロジェクトC:ユビキタス情報社会国際研究プロジェクト

現在、競争的研究資金を獲得して「グローバルな規模で進展する情報経済と新たな社会制度デザインに関する研究」および「情報セキュリティとリスク・マネジメントに関する調査研究」という2つの研究プロジェクトを推進している。

前者では、公共部門と民間部門の相互作用と協力を通して、新たな社会システムを展望し、古い社会・経済・技術パラダイムから新しいそれへの移行プロセスについて理論的かつ実証的な研究を展開している。また後者では、トラブルを極力抑止するマネジメントのあり方、トラブルが発生した場合のモニタリング、現状復帰への運用体制構築、そのためのプロジェクト・マネジメント、とりわけ人的資源管理、財務的パフォーマンス、競争的ソーシングなど新たなリスク・マネジメントに関する調査研究を行っている。

概要

ユビキタス・ネットワークの威力を最大限に発揮するためには官民の相互作用と連携 が重要になる。そこで官民を連結する中間組織としてネットワーク型TTP (Trusted Third Party)の重要性についてお話したい。とりわけユビキタス・ネット のトレーサビリティを活用したセキュリティ問題やクロスボーダー問題への対応、さ らに環境保全型社会の展望について述べてみたい。

パネリスト: 濱田 純一

東京大学大学院情報学環・教授
プロジェクトC:ユビキタス情報社会国際研究プロジェクト

情報・メディアに関する法制度や政策を専攻。著書に、『メディアの法理』や『情報 法』など。インターネット上の自由と規制、プライバシー保護、放送と通信の融合、 コンテンツ流通と倫理など、ICT技術が引き起こす社会の変化やリスクに関する制 度設計に取組んでいる。総務省電波監理審議会委員で、「ユビキタスネット社会の実 現に向けた政策懇談会」などにも参加中。

概要

法制度は社会の意識や価値観、社会システムの反映である。技術と制度は相携えながら、社会の変化に対応し、また社会の変化を促していく。ユビキタス技術の利用が社会や経済の仕組みに大きなインパクトを与えるほど、法は、安定の道具にとどまらず変化の道具ともなることが求められ、技術によるコミュニケーション・モードの変化、利益バランスの再調整、新たな価値創造などへの対応が必要になる。知的財産、取引環境、違法・有害コンテンツへの対応、プライバシーやセキュリティなど、ユビキタス社会における多様な法的課題を概観し、社会のユビキタス化に対応する法整備を中心とした情報政策のポイントや基本的な考え方、法の役割(制度と市場等のバランス)、を論じる。


パネルセッション3
「ユビキタス情報社会を支える技術基盤と応用」

コーディネーター: 坂村 健

東京大学大学院情報学環・副学環長・教授
拠点リーダー、プロジェクトB:ユビキタス情報技術研究プロジェクト・統括

パネリスト: 大江 和彦

東京大学院医学系研究科教授
東大病院副院長・企画情報運営部長

東大病院の医療情報システムの設計、導入、運用管理全般を担当する 企画情報運営部を担当。また、医学知識表現手法、医療情報の標準化、特に病名表現の標準化、電子カルテシステムにおける医学オントロジー記述を研究。03年から東大病院副院長、企画情報運営部長、医療機器・材料管理部長。医療機器の管理情報と 病院情報システムとの統合化による新しい医療安全管理を目指す研究や、自立分散情 報機器による電子診療支援システムの開発研究などを開始している。

概要

大学病院では、1,000人以上の患者が入院し、数百人の医師・看護師・医療技師が働き、数百台の医療機器が分散配置されている。そして数千の点滴用薬剤、注射薬、医療材料などが随所で準備され、コンピュータ入力された医療指示情報にもとづいて、院内いたるところで刻々と医療が実施されている。こうしたなかで医療安全管理を行うには、個々人の注意はもちろん必要であるが、同時に医療に関わる人、機器、薬剤、医療材料などの動態を病院全体で集中的に把握し管理できるようにすることが必要である。ユビキタス技術はこの実現に何をもたらすか、課題何か、医療現場は何を求めるかを考えてみたい。

パネリスト: 越塚 登

東京大学情報基盤センター・助教授
総括調整班、プロジェクトB:ユビキタス情報技術研究プロジェクト

1989年よりトロンプロジェクトに参画し、以後Operating System、Human-machine interface、Window SystemやUser Interface Management SystemなどのInteractive Software Architecture等の研究に従事した。現在は主に、Ubiquitous ID CenterやT-Engine Projectといった活動の中で、 Ubiquitous Computing、Embedded Realtime Systemの研究に注力している。

概要

ユビキタス情報社会とは、ハードウェア技術等の進展により小型化したコンピュータや通信装置が身の回りのあらゆるところに遍在し、それらの作動によって、いつでもどこでもデジタル情報を活用したり、コンピュータによる様々な支援の恩恵を受けられる社会である。こうした社会の変革をもたらすトリガーとなったのは、なんといっても電子技術や情報技術の発展である。特に、今まではなかった、1mm角より小さな超小型RFIDチップや、コインサイズのセンサーノードといった技術、更には生活空間のほとんどをカバーするほどのデジタル通信基盤の整備が重要である。本研究拠点では、ユビキタスを支えるこれらの基盤技術の研究開発、これらの基盤技術によってもたらされる、情報技術の新しいアプリケーションの開拓を行っていきたい。


東京大学大学院 情報学環・学際情報学府

東京大学大学院情報学環・学際情報学府は、従来の研究科とは異なる形態の大学院組織として、2000年4月に設置されました。

この大学院組織は、研究組織(教員が所属)である情報学環と教育組織(学生が所属)である学際情報学府という2つの対をなす機構によって構成されています。この大学院組織は、専門深化と恒常性を基本的な特質とする従来の研究科の限界を超えて、全学にわたる情報関連の諸領域をネットワーク的に連携させる横型の組織として設置され、情報学分野の総合的な教育研究を先端的かつダイナミックに推進するにふさわしい形態として考えられたものです。

その基本的特徴は、組織構成員の流動性と全学的連携、及び研究組織である情報学環と教育組織である学際情報学府の両立という点にあります。すなわち、研究組織である「情報学環」は、固有の基幹教員と、既存の研究科・研究所等から3年ないし7年の期間をもって情報学環に定員及び身分を異動する多数の流動教員によって構成されています。ここでは、多数の分野横断的なプロジェクト研究を柱に据え、文系理系の区別を越えた情報分野の学融合を目指しています。

教育組織である「学際情報学府」における大学院学生に対する研究指導は、情報学環の基幹教員と流動教員が行いますが、授業科目の担当は、これらの教員が行うほか、他研究科・研究所等に所属する教員にも委嘱します。また、副指導教員制や副専攻制度の積極的な運用を図ることによって、情報関連の広範な学問分野を覆う幅広い学際的教育を目指しています。


 

 

 

 

 
 

 
           
 
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