東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻
第10回シンポジウム
実空間と仮想空間の融合
~ユビキタスコンピューティング技術とネットワーク検索技術の融合~

Blurring the Difference between Real and Virtual World
—Integration of Ubiquitous Computing Technology and Network Search Technologies —

開催概要

日時
平成18年11月7日(火)13:30~17:30
会場
東京大学 大講堂(安田講堂)
主催
東京大学21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」
東京大学大学院情報学環
NTTサイバーソリューション研究所

プログラム

13:00
受付・入場
13:30~13:35
開会挨拶
13:35~14:20
基調講演「実空間と仮想空間の融合」
坂村 健(東京大学大学院情報学環・教授、東京大学21世紀COE
「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」拠点リーダー)
14:20~15:05
特別講演「ポータルの現状と今後」
大町 雄一(NTTレゾナント・取締役)
15:05~15:20
休憩
15:20~16:55
パネルセッション「実空間と仮想空間の融合」
〈パネリスト〉
  • 大町 雄一(NTTレゾナント・取締役)
  • 小川 克彦(東京大学大学院情報学環 特任教授NTTサイバーソリューション研究所・所長)
  • 越塚 登(東京大学大学院情報学環・助教授)
〈コーディネータ〉
坂村 健(東京大学大学院情報学環・教授)
17:00
閉会

ごあいさつ

21世紀、人間社会のあらゆる場面においてデジタル化された情報を活用するユビキタス情報社会へと向かおうとしています。ユビキタス情報社会を形成するために、まず必要なことは、最先端のコンピュータやネットワークなどの情報通信技術です。特に、RFIDやセンサーネットワークなどの超小型デバイス、ユーザフレンドリなユーザ端末、無線通信技術、コンテキストアウェアな情報サービス技術、セキュリティー技術などが重要です。更に、これらの技術を推進するためには、行政による科学技術振興政策、また産業界による先端技術の実用化・産業化といった取り組みも不可欠です。

近年ユビキタス技術を活用した未来の日本社会に対するu-Japan(Ubiquitous Japan)構想も提案されています。本シンポジウムでは、主にユビキタス技術に焦点を当てつつ、ユビキタス情報社会に向けてそれぞれに役割を担った産官学民が結集し、特にユビキタス技術の現在と将来への展望を議論したいと思います。

坂村 健
21世紀COEプログラム
「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」拠点リーダー
東京大学大学院情報学環教授


基調講演
「実空間と仮想空間の融合」

坂村 健


東京大学大学院情報学環・教授、
東京大学21世紀COE
「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」拠点リーダー

概要

ユビキタスコンピューティングは、身の回りのあらゆるモノや場所に埋め込んだマイクロデバイスを用いて、実世界の様々な状況情報を自動認識し、それを高度な情報サービスや環境制御に役立てる、情報社会基盤の新しいトレンドである。更に、実世界の状況情報を認識するためには、マイクロデバイスだけでなく、衛星や航空機からのリモートセンシング等によるマクロレベルの観測も有効である。これらの、ユビキタスコンピューティングやリモートセンシングの情報を統合し、実世界の状況を総合的に分析する、総合分析情報学という新しい学問分野も確立しつつある。

一方、インターネットを中心とした通信基盤上に構築されたデジタルメディア上に存在する膨大なコンテンツ情報に関しては、全文検索等の技術によって、総合的な分析を行うことがある程度可能になってきた。更に近年は、地図や衛星写真などの地理情報と検索技術を組み合わせることで、実世界とインターネット上のコンテンツ情報の間の結びつける試みも行われている。

本講演では、こうした実世界の状況情報を認識・解析するユビキタスコンピューティングやリモートセンシングの技術と、インターネットなどの仮想世界上のコンテンツ情報を検索する全文検索の技術、それぞれの最先端の状況を概観した上で、これらを統合することで、実世界と仮想世界を融合する新しい情報インフラの可能性について議論したい。


特別講演
「ポータルの現状と今後」

大町 雄一


NTTレゾナント株式会社 取締役
ポータル事業本部 事業推進部長

1950年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻修士課程修了。1975年電電公社入社。

入社から横須賀研究所にてオペレーティングシステムに関する研究を担当。

概要

1995年、当時、国内においても最先端のマルチメディアサービスを提供していたマルチメディアビジネス開発部にて、様々なインターネット関連事業の立ち上げに携わる。1999年より、NTT-Xにてソリューションビジネスやセキュリティビジネスに携わった後、「goo」の編成本部長に就任。現在も「goo」の戦略統括のみならず統括部門長として活躍中。概要生活やビジネスの行動起点において、『検索窓』にキーワードや質問を入力し、検索結果を閲覧するという検索は、実世界からインターネットという仮想世界の価値や情報を求める、既にコモディティ化した、一見、極めてシンプルなサービスである。

一方、『検索窓』の裏側、すなわち、サービスを提供するポータル事業者の観点で検索をみると、インターネットという仮想世界で観測、分析される大量の情報から、Web2.0潮流というWebの進化や、CGM(消費者が情報を生成)に代表されるユーザの行動変容など、実世界における新たな、数多くの価値や気づきを生み出す可能性を秘めている。例えば、入力された大量の検索キーワードの統合を行い、総合的に分析し、時系列変化を分析すると(いわゆる検索キーワードランキング)、実世界の市場トレンドや人々の関心を浮かび上がらせることができる。検索キーワードを分析するだけで、実世界の投射を見ることができる。

あるいは、検索の閲覧履歴のログといった情報を分析すると、インターネット利用者の趣味、嗜好という実世界のプロファイルを推定することができる。インターネット広告の本質は、いかに的確なユーザをターゲティングし、広告のクリックレートを上げるかということであり、これらのプロファイルは、インターネット広告ビジネスの重要なKFS(成功の鍵)となる。このような状況を踏まえ、『検索窓』を通して垣間見える、ポータルサービスにおける実世界と仮想世界の情報分析の意味合いについて概観する。


パネルセッション
「実空間と仮想空間の融合」

コーディネータ

  • 坂村 健
    東京大学大学院情報学環・教授
    東京大学21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」拠点リーダー

パネリスト

  • 大町 雄一
    NTTレゾナント株式会社 取締役ポータル事業本部 事業推進部長
  • 小川 克彦
    東京大学大学院情報学環 特任教授
    NTTサイバーソリューション研究所・所長
  • 越塚 登
    東京大学大学院情報学環・助教授

小川 克彦


東京大学大学院情報学環 特任教授
NTTサイバーソリューション研究所・所長

1978年 日本電信電話公社(現NTT)に入社。

以来、画像通信システムの実用化、ヒューマンインタフェースの研究、マルチメディアサービスの開発を行う。現在、時空間情報検索、コミュニケーションロボット、ユニバーサルデザインの研究開発に従事。

著書に「サイバーインタフェースのデザイン」「デジタルな生活‐ITがデザインする空間と意識‐」などがある。

現在、NTT サイバーソリューション研究所 所長。

東京大学 大学院 情報学環 特任教授。工学博士。

「場所の未来—リアルとネットの融合—」

ケータイは生活にかかせない便利な道具だ。いつでもどこでも使えて場所を選ばない。しかし、人が生きているのはリアルな場所である。人びとが集うリアルな空間を安心できる場所にしたい、くつろげる場所にしたい、そして楽しめる場所にしたい。そんな思いをリアルな場所とネット空間を融合させて実現できないだろうか。本パネルでは、リアルとネットを融合させた具体的なシステムを紹介し、場所の未来について考えてみたい。

越塚 登


東京大学大学院情報学環・助教授

1994年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。東京工業大学助手、東京大学大学院人文社会系研究科・助教授、同情報基盤センター・助教授を経て、2006年4月より現職。1988年よりトロンプロジェクトに参加し、以後ヒューマンインタフェースやユビキタスコンピューティングの研究に取り組んできた。現在は特にユビキタスコンピューティング環境のためのユビキタスIDアーキテクチャ、組込みリアルタイムシステムの基盤プラットフォームを確立するためのT-Engineプロジェクト、ユビキタス環境におけるセキュリティーシステムであるeTRONアーキテクチャの構築に注力している。

「現実と仮想をつなぐ『分析情報学』」

情報認識技術(Context-awareness)を中核とするユビキタスコンピューティングの研究が世界的な大きな潮流となっている。更に人工衛星や航空機からのリモートセンシングなどの技術も用いれば、現実世界の状況情報を大量に取得することができる。我々は、これらの現実世界の大量情報を獲得・処理・分析することで、実世界で起きている事象を多面的に把握し、的確な対応をとる新しい学際的な学問分野として、分析情報学の確立に取りくんでいる。そこで、東京大学大学院情報学環・学際情報学府では、新たに、平成18年4月より総合分析情報学コースを開設し、分析情報学の研究と高度な学際的専門教育を行っている。実世界の状況を把握し、さらに仮想世界で培われた高度な情報処理・分析の技術やノウハウをうまく適用できれば、農学、医学、薬学、地理学、生物学等の諸学問分野をはじめ、災害支援や社会安全保障といった様々な分野に貢献することが可能である。本パネルセッションでは、分析情報学の立場から、実世界と仮想世界の融合について議論したい。

 


東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻
21世紀COE・次世代ユビキタス情報社会基盤の形成
第二回 ユビキタス場所情報システム・シンポジウム
発行 2004年11月16日

Copyright © 2004 by
Interfaculty Initiative in Information Studies
Graduate School of Interdisciplinary Information Studies
The University of Tokyo

 

 

 

 

 
 
 
 
           
 
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